伊勢の神宮・熊野三社参詣旅行2日目
2011.3.8 -[社務日誌]
中日である2日目となりましたが、今日の最大の目的は熊野那智大社にて正式参拝を行うことです。
そのため、今日も旅館のあった鳥羽浦から熊野へ向かうまで長い距離となるので朝8時くらいには貸し切りバスにて出発しました。
宿泊した旅館が海に面し、露天風呂が高台にあり、とても良い景色であったため出発する前にまだ日が昇らない朝の5時半頃にお風呂に浸かりに行きました。
そうすると間もなくうっすらと山々の山頂辺りが紅葉し始め、青い空に赤い空がグラデーションを下からゆっくりとかけていき、徐々に燃える赤に侵食したと思うと、白い光が辺りを包み始め、雲の配置によって1番高い山の頭に光が集約し、まるで天に上る階段の如く光が一縷射し、その瞬間に鳥の群れが一斉に啼きながら飛び立ちました。その刹那、朝日が完全に顔を出し、目も開けられない程の光で包み込まれました。
思わず、露天風呂でこの一連の光景に見とれてしまい湯船に1時間近くも浸かってしまいました。残念ながら私の文章が陳腐で中々想像できないかと思いますが、この光景を見た時に、古代日本の人々は高天原や神々の住まう国が、他宗教の天国や地獄などのように違う次元に存在するのではなく、どこか遠い先にあると感じていたことに心から納得しました。
と、こういった光景を見れたのも観光気分ではなく参詣を目的とした気持ちに神様の御心に叶ったからなのだと素直に思いました。
話は戻り、バスで熊野に向かう道中、紀勢自動車道を通っていったのですが、天気が非常に良く、朝から絶え間なく青空で、横目に流れてゆく山々や海の七里ヶ浜などがとても美しく、長い時間を感じさせない景色で参加者も大変感動しておりました。
まずは熊野速玉大社にて参拝を行いました。町の中にひっそりと鎮座しながらも、朱色と白の社殿群の配色に目を奪われました。ところが参拝していると予定にはありませんでしたが、ありがたいことに、わざわざ熊野速玉大社の神職さんが表に出ていらっしゃって私達一行に20分程のお話をして下さいました。これから行く他の熊野の神社についても説明をしてくださったので、これからの日程も楽しみになりました。
その後、バスに乗りいよいよ今日の最大目的である熊野那智大社へ出発しました。熊野那智大社は山の上に鎮座しているため、私達がバスから降りた場所からでも片道500段近くの石畳の階段を登って行くことになります。
そのような大変な道のりでありながら、ほとんどの参加者が石畳の階段を歩いて登りました。
到着すると見渡す限り熊野の山々がそびえ立ち、体が吸い込まれそうな風景でありました。
その後、全員到着したのを確認して、御社殿に上がり、正式参拝をしました。正式参拝では祓い、祝詞奏上、玉串拝礼の他にも「那智の舞」という神楽も奉納され、神宮で拝見したものとはまた違う神楽に参加者も熱心に見入っておりました。
それで、終わりかと思っていたのですが、次に御垣内の本殿近くまで案内いただき、尚且つ、熊野那智大社の宮司さんが待っておられ、熊野信仰の話から、神道とは何なのか、なぜ、私達が生かされているのかなど、30分以上に渡り、お話していただけました。そして、本殿近くでも各人お参りをさせていただくことができ、予想外の特別の配慮に、私を始め参加者全員が感謝の言葉が絶えませんでした。
そうして、参拝させていただいた後、世界遺産にも認定され、滝そのものが御神体である那智の滝へと向かいました。写真や遠目で見るのとは全く違い、近くまでゆくと、その大きさと迫力に圧倒されました。
また、ここでも特別な配慮をしていただき、通常の場所よりもさらに滝が近いところまで行くことができ、参拝することが出来ました。
最後に熊野古道大門坂10分程の道のりをゆったり散策して悠久の歴史が紡ぐ過去と現在を結ぶ古道を歩きました。樹齢何百年も経っている木々の中を歩くのはとても気持ちが良く、多少歩きづらい階段でありましたが、とても良い体験をしました。
これにて、今日の予定は終了し、館内に6ヶ所も温泉がある南紀勝浦のホテルに泊まりました。今日は80歳代の方もいらっしゃる中、熊野一帯を歩きまわりましたが、誰も怪我なく、事故なくホテルへと向かうことが出来たのは、皆さんの篤い信仰による感謝に神様が御神力を授けていただいたお蔭だと思います。
しかも、ホテルに着いても皆さん非常に元気で、バイキングの夕食では、信じられないくらい大盛りで食べておられ、名物のマグロ料理を食べながら昨日今日の話題で大変盛り上がりました。
明日も朝早いので、夕食後は解散して各自自由行動となりました。