上巳の節句(ひな祭り)に雛茶会が行われました。
2012.3.3 -[社務日誌]
3月3日は上巳(じょうし)の節句で、一般的には桃の節句といわれています。
節句は本来「節供」と表記し、年中行事の中で特に重要な節目の日のことで、その日に限っては集落全体で仕事を休んでいました。それは日頃の罪穢れ(けがれ)を祓うことで、元の気の状態へ戻し日常へと復帰させる、いわば心身をリセットする大切な日でもありました。
その中で五節句として人日(じんじつ)1月7日、上巳(じょうし)3月3日、端午(たんご)5月5日、七夕(しちせき)7月7日、重陽(ちょうよう)9月9日という5回の節句が伝わっています。
上巳の節句は大陸から文化が伝わり、平安時代頃に祓えを行う宮中行事として行われ、やがて人形に穢れを移して川や海に流して祓いを行うようになり、江戸時代以降に現在のような家庭に人形を据え置いて祝う行事へと広がっていきました。
さて、私が習っている茶道の社中では上巳の節句に併せて稽古場でもある「日本料理 百代」にて「雛茶会」が行われました。
先ずは水屋を済ませて炭を焚くことから始め、炉縁は雛祭りらしい赤の輪島塗が使われていました。本来であれば懐石料理なのですが今回は特別に雛祭りの弁当にして頂いたそうです。
何代か前の家元が書かれた軸は可愛らしいお内裏様とお雛様に「桃は紅 柳は緑」と書かれたものでした。
また、徒然棚(つれづれだな)と呼ばれるひし形の棚が用意され雛祭りの雰囲気を一層盛り上げていました。懐石は宴和やかに行われながらも稽古もあわせて行われ諸々の作法も習いました。
その後は腰掛待合をして小休止をしてから濃茶、薄茶と続きました。
今回の茶事では会員が雛祭り用に作られた可愛らしいお菓子を持ち込まれ、それを皆で美味しく頂きました。
結果、大変楽しいひと時となり5時間以上の賑やかな茶会となりました。
こうして茶道を通してでも日本の伝統文化に触れながら季節の情緒を感じる体験は非常に勉強になりました。