全国唯一病厄除守護神 廣田神社

社務日誌

第7回神宮教養研修会を受講しました。その1

2016.5.11 -[社務日誌

記:鈴木権禰宜

初任神職を受講し、神職としての自覚を育み本宗たる伊勢の神宮に参向して教養を高めるべく平成28年5月9日~11日に開催された神宮教養研修会を受講した。

今回、研修会の引率である青森県神社庁の浪打さん、高山稲荷神社の工藤宮司さんより、「伊勢の神宮を訪問して、改めて本崇たる所以を確認して欲しい。また、遷宮後の様子もぜひ見学してほしい」というお話であった。

第7回神宮教養研修 外宮

1日目の最初に外宮の御垣内参拝をした。今回伊勢志摩サミットの開催もあり、警備で物々しいような状況であった。

第7回神宮教養研修 外宮

次にせんぐう館を見学した。遷宮の様子、また御装束・神宝についての解説や、生地見本を拝観できた。

生地文様は複雑なで、1日数センチしか織れないということ、また後継者不足が深刻な状況であるとのことだった。また、外宮御正殿を横から見ることの出来る展示物は初めて見た。

第7回神宮教養研修 せんぐう館

普段は正面からしか見たことがなかったのだが、青森県の三内丸山遺跡のような高床式の構造であるということが理解できた。

また、屋根を支える柱は、実は銅板で巻いているということ、土壌改良工事、萱を葺く前に煙でいぶしている等、予算や材料が限られている中で、20年は持たせたいという職人の知恵と苦労が分かった。

2日目は、神御衣祭(かんみそさい)で使用される和妙(にきたえ)、荒妙(あらたえ)を作る神社を訪問した。古代は幣帛(へいはく)の代わりに、反物を供えていたが、現在は貨幣へと変遷しているという説明だった。

第7回神宮教養研修 和妙 神服機織殿神社

第7回神宮教養研修 和妙 神服機織殿神社

最初に和妙は神服機織殿神社、荒妙は神麻続機殿神社の中の八尋殿(やひろどの)で奉織されている。5月1日、10月1日からおよそ1週間で織り上げる。

その八尋殿内では5人で織あげているが、実際はベテラン2人が、若い人3人に教えるというやり方で、地元の人が織るとのことであった。この和妙は、絹で女性が、荒妙は麻で男性が織るという慣習だそうである。

第7回神宮教養研修 荒妙 神麻続織殿神社

第7回神宮教養研修 荒妙 神麻続織殿神社

また、幣帛は、神様の魂を包むものとしての衣になるという説明があった。それ程古代の人は、幣帛を大事にしてきたことが分かった。

次に別宮の倭姫宮を参拝した。この神社は大正12年創建と神宮の中で一番新しい神社である。

第7回神宮教養研修 倭姫宮

次に日本最古の私立博物館、神宮徴古館に行った。収蔵品の殆どは宇治山田空襲で焼失している為、明治時代の収蔵品はなく、第62回式年遷宮の収蔵品が殆どである。博物館だと古いものを展示するイメージしかなかったので、少々残念である。

第7回神宮教養研修 神宮徴古館

また、河原大祓の祭具等のレプリカ、また内宮御垣内の縮小モデルが見られた。内宮を俯瞰するような感じであった。

普段写真でしか見られない正宮を別な視点から見ることが出来たのが、何よりいい経験であった。また、幣帛、反物を供えるという風習を守り伝えていきたいと痛感した。