第7回神宮教養研修会を受講しました。その2
2016.5.12 -[社務日誌]
2日目の午後からは、神宮職員さんからの講義であった。
先ず最初に衣紋の話で、幣帛の麻と絹を織るのは前回に述べた神社でやるのだが、その絹糸はかつて愛知県田原市で伝統行であった事神宮に絹糸を奉納する船の話があり、神宮に献上、奉納される絹糸は「赤引きの糸」と言われ、穢れのない糸という意味を持っていたそうだ。
次に神宮のお祭である。
最も重要な祭祀として神嘗祭がある。
今上陛下が皇居でお作りになった稲の束を内宮の板壁に吊るすというものは、実は昭和天皇から始められたそうで、私はもっと古い歴史があると思っていた。
また、通常の朝と夕方にお供えする日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)での神饌の話が出た。
通常の神社の神饌(しんせん)には、箸はつかないが、神宮や熱田神宮では、神饌に箸が付くことが特徴といえる。
また、現在のような大きな野菜、果物ではなく手のひらに乗るような小さいものである。
また、普段我々神職は、神饌作る際に潔斎というお籠りをしないが、神宮では前日からお籠りをしている。神饌というものはただお供えするのではなく、重要な行事であることも分かった。
3日目は、内宮の御垣内参拝をした。
その後、神楽殿で神楽を奉納した。
普段神社で奉仕しているような安産、初宮等の私的なお願いではなく、神恩感謝として日頃の感謝の御礼と国民全員の安寧を祈念する祝詞であった。
また、お神楽は巫女による倭舞である。
廣田神社で舞う豊栄舞より非常にゆっくりしていて、1歩1歩が極めてゆっくりであることが大きな違いである。
また、衣装も独特で、緋袴は平安時代さながらのような引きずるような緋袴である。
今回の神宮教養研修会では、神宮の尊さ、重要性を再認識できた。
特に神饌は、普段何気なくお供えしてしまっていることもあるが、日々の神恩感謝を常に忘れることのないようにという気持ちが再確認できた。
また、神宮大麻も内宮のお札をお祀りしているが、外宮も合わせてお祀りすることが正しいということを聞いた。
また技術の伝承も後世に伝える必要もあり、今後私の研究する民俗芸能の伝承、普及の一助になると思う。
非常に有意義な研修であった。
地元では、なかなか神宮のことを考える機会が少ないので今後の自分としての課題となるのであろう。