猿賀神社の御田植祭を取材しました。
2017.5.25 -[社務日誌]
平成29年5月25日に青森県神社庁教化委員会企画部会にて猿賀神社の御田植祭を取材しました。
神道教化を促進するために設けられている委員会の企画として、青少年教化事業が一つ掲げられています。
その委員を宮司が務めていますが、その一環で日本の基でもある稲作文化を学ぶ機会作りの参考として、広く県内に発信するため、今回、稲作の神事である御田植祭を取材させて頂きました。
忙しい合間にも関わらず、猿賀神社宮司を始め神職、関係者の方々には大変快く受け入れて頂きました。
先ずは準備が整い所定の時間になったところで、社務所前に神職、早男早乙女、神社関係者、猿賀小学校児童が整列して参道入口付近にある祓戸まで参進しました。
祓戸に整列したところで修祓が執り行われ、これから御田植祭を奉仕する宮司以下神職、早男早乙女、神社関係者、猿賀小学校の生徒等の順番で心身が祓い清められました。
お祓いが終了したところで再び列次を組み参進して社殿へとゆっくりと向かっていきました。
眩いほどの新緑を浴びながらの参進にとても清々しい気持ちで社殿へ向かうことが出来ました。
着座すると早速、これから御田植祭を行う旨を奉告する奉告祭が執り行われました。
神妙な雰囲気の中、これから奉仕へ向かう早男、早乙女の顔も真剣になっていました。
猿賀神社では早男は氏子青年会の方々が、早乙女には猿賀小学校の5年生が奉仕されているそうです。
今年は、その白装束をまとった早男、早乙女に外国語指導助手(ALT)の方々も参加していました。
昭和7年から始まった御田植祭も80回近くを超え、現在では3世代4世代に渡って受け継がれているそうです。
玉串拝礼ではそれぞれの奉仕者代表に合わせて拝礼をしてこれからの御加護を祈念していました。
奉告祭の神饌、お供え物には恒例で白米ではなく赤飯がお供えされるそうで、他にも名物である境内の鏡ヶ池のレンコンも献じられるそうです。
奉告祭でお供えされた稲の苗をはじめ神饌を、早男早乙女が一人一つずつ所持し、再び列次をなして境内に隣接する神饌田まで参進しました。
池のほとりをゆっくりと歩きながら駐車場を通り神饌田に15分程で着きました。
神饌田は元氏子青年会会長の方が所有されている田んぼの一部を借り、氏子の方が管理しているそうです。
約2畝歩、60坪ほどの神饌田でしたが綺麗に整えられ立派な田んぼでした。
神饌田に着いたところで祭壇前に着き、直ぐ御田植祭がはじまりました。
先ずは田んぼが浄められた後、田の神々をお呼びして神事が続きました。
宮司の祝詞奏上が厳かに捧げられ、参列者一同心を同じくして奉仕の心構えを整えました。
その後、祭員によって畦畔を周り、神饌田の四隅に忌串が立てられました。
そして畦畔中央に対峙したところで、懐中していた切麻(きりぬさ)を散供して祓い清められました。
次に祭壇に供えられた植え初め用の稲の苗を神職から一房ずつ渡されました。
続いて神職の前導によって神饌田畦畔を一周巡りました。
草履を脱いだり、予備用の稲の苗の準備をしている間に八角形をした田植え枠と呼ばれる農具を使用して、植える場所を印付けしました。
稲は一定の間隔を以て離さないと生育しないそうで、こうした間隔を図るための道具が昔は使用されていました。
印が付け終わったところで、はじめに宮司より植え初めが行われました。
完了したところで早男、早乙女の田植えが一斉に始まりました。
それと同時に猿賀小学校の鼓笛隊の演奏並び合唱がはじまりました。
最初は少し恥ずかしがっていましたが、何度か繰り返すうちに空まで届くような元気な合唱になっていました。
この御田植祭に合わせて音楽の授業で何度か練習しているそうで、とても耳に残る素晴らしい田植え歌でした。
早乙女も泥の感触がとても新鮮なようでとても楽しそうに一つ一つ大事に植えていました。
手に持っている早苗を植えると、おしりに付けている竹かごから苗を取り、それが無くなると、畦畔から総代さんが勢いよく奉仕者へ投げて渡していました。
泥に取られて足が中々抜けなかったり、苗を小分けにするのが上手くいかなかったりしていましたが、リズムに合わせて段々と上手になっていました。
全て植え終えたところで、バケツに用意していた水に足を入れて泥を落としたところで再び参列して玉串拝礼が行われました。
ちなみに早男、早乙女が履いていた草履は神饌田を管理する氏子さんが今回初めて手作りで作ったそうでそれをはいて奉仕している姿に喜んでいました。
神事終了後、合奏してくれた猿賀小学校の生徒たちに稲作のお話しを宮司よりわかりやすい言葉でお話されていました。
準備が整ったところろで再び列次をなして参進して社務所へと戻りました。
社務所に着くと着替えた後、直会が始まりました。
猿賀神社の御田植祭では直会の料理も決まっているそうで、赤飯にレンコン汁、身欠きにしん、ミズのおひたしなどが用意されていました。
レンコンはここ数年、池の土壌改良などで取れなかったそうですが、今年は宮司自ら取られたそうで、御田植祭では6年ぶりに振る舞われたそうです。
一緒に参加させていただき、楽しく頂戴しました。
地域一体となって神様のもと、私たちの根幹でもいえる稲作がこういった形で伝承されている姿にとても感動しました。
猿賀神社の皆さま大変ありがとうございました。
最後に、余分になった早苗をわけて頂いたので、廣田神社でもプランターを用意して田植えをする予定です。