夏越大祓式を執り行いました。
2017.7.7 -[社務日誌]
平成29年6月30日に夏越大祓式を執り行いました。
大祓式とは日常生活の中で知らぬ間についてしまった罪・穢れを半年に一度祓い清める神事で、水無月(6月)と師走(12月)に行われている神事です。
大祓式の行事は1,300年前にはすでに行われており、当時は大きな災いや重要な祭儀の時に臨時で行なわれていたそうですが、後に恒例化するようになって現在では6月と12月の半年ずつ行われるようになりました。
特に水無月(6月晦日)の祓いは夏越(なごし)の大祓式とも呼ばれ、茅の輪を作り、それをくぐることで心身の浄化を図る神事も併せて行われています。
全国の神社でも6月30日に茅の輪を境内に設けて、この夏越大祓式が執り行われています。
今年も天気に恵まれ、穏やかな風がそよぐ夏らしい気候の中、沢山の方にご参列頂きました。
参列できない方も多数申込み頂き神事においてしっかりと人形(ひとがた)を浄め祓いました。
大祓式に茅の輪をくぐるようになったのは、「備後国風土記」逸文の「蘇民将来(そみんしょうらい)」に由来する疫病退散の古事にならって行われるようになりました。
その物語とは、ある時スサノオノミコトが旅の途中で宿を探していたところ、裕福であった巨旦将来(こたんしょうらい)という人物にその願いを求めましたが断られてしまいました。しかし、兄である蘇民将来(そみんしょうらい)は、貧しい生活を送っていたにも関わらず手厚い加護を以てその願いを引き受けました。
それに対してスサノオノミコトは御礼として疫病退散の茅の輪を蘇民将来に授けました。
その言いつけを守って腰にその茅の輪をくくり付けていたところ、後に起こった疫病の難を逃れることが出来、無事に助かることが出来たというお話しでした。
それが現在では、茅で作った大きな輪をくぐることで疫病の難を逃れるということになり、この大祓式と一緒に行なうことで心身の罪穢れを祓うという神事になりました。
またこの神事が特徴的なのは、通常、神様に向けて感謝や願いの祝詞を奏上するのに対して斎主が参列者を向いて祝詞を発する形となっています。
これは夏越大祓式で読み上げている「大祓詞」という祝詞が、もともとは神様の言葉を口にして発する宣読(せんどく)という、宣る方式を採っているからです。
現在では奏上するような文章に若干変更され、読み上げることで祓いをもたらす重要な祝詞として、あらゆる神事や生活の中のまつりで読まれています。
ですから当神社でも宣る形式を執り、斎主に合わせて全員で大祓詞を唱えて祓いをし切麻と大麻という祓えの神具をもって清めました。
その後、皆さんの罪穢れを吹き込めた人形(ひとかた)を唐櫃(からひつ)に納めて茅の輪くぐりを行いました。
年々多くの方に参列して頂いていますので境内いっぱいにゆっくりと歩きながらくぐりました。
くぐるときに御神歌の「水無月の 夏越の祓ひ する人は 千歳の命延ぶというなり」を唱えながら歩きますが、何とも夏らしい雰囲気となりました。
そして祓い清められた人形を忌火の神聖な火によって全て焼納して消滅さえました。
この人形の処理は神社によって川や海に流して水によって清める場合もあります。
ねぶたも紙で人形を作り最後には海上運航ということで海に流す風習は、この大祓式と同様に日本古来から伝わる祓えの様子を現わしているともいえます。
最後は宮司より大祓式の歴史や日常の祓えのお話をしました。
参列できなかった方のために茅の輪は7日早朝まで設置していますので、まだ茅の輪をくぐられていない方はぜひ参拝がてらお通り下さい。
浄く明るく直く正しき日常となりますよう祈念申し上げます。