夏越大祓式を執り行いました。
2020.7.12 -[社務日誌]
令和2年6月30日に夏越大祓式を執り行いました。
大祓式とは日常生活の中で知らぬ間についてしまった罪・穢れを半年に一度祓い清める神事で、水無月(6月)と師走(12月)に行われています
大祓式の行事は1,300年前にはすでに行われており、当時は大きな災いや重要な祭儀の時に臨時で斎行され、後に恒例化されてから、現在は6月と12月の半年ずつ行われるようになりました。
特に水無月(6月晦日)の祓いは夏越(なごし)の大祓式とも呼ばれ、全国の神社で6月30日(旧暦で行う神社もある)に茅で作った輪をくぐることで心身の浄化を図る神事も併せて行われています。
例年であれば多数の方にご参列いただき、共に大祓いを執行し、茅の輪くぐりを行いますが、今年は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、人形は例年通り受付ますが、神事は神職のみで斎行することにしました。
大祓式が他の祭事と大きく異なるのは、通常、神様に向けて感謝や願いの祝詞を奏上するのに対し、斎主が参列者を向いて祝詞を発する形となっていることです。
これは夏越大祓式で読み上げている「大祓詞」という祝詞が、もともとは神様の言葉を口にして発する宣読(せんどく)という宣る方式を採っているからです。
しかし、今回は新型コロナウィルスの感染拡大防止の処置を執ったため、御神前に向かって奏上する形式にて祓い清めることにしました。
氏子崇敬者皆様から寄せられた罪穢れを移した人形は、唐櫃に納め、しっかりと神事にて祓い清めました。
また、多くの神社では夏越の大祓式に併せて茅の輪くぐりも行われます。
その物語とは、スサノオノミコトが旅の途中で宿を探していたところ、裕福であった巨旦将来(こたんしょうらい)という人物にその願いを求めましたが断られてしまいました。それに対して、その兄である蘇民将来(そみんしょうらい)は、貧しい生活を送っていたにも関わらず手厚い加護を以てその願いを引き受けました。
そのことに関心したスサノオノミコトは、御礼として疫病退散の茅の輪を蘇民将来に授けました。
蘇民将来は、その茅の輪を腰にくくり付ける言いつけを守っていいたところ、疫病の難を逃れ無事に助かりました。
以来、その逸話に倣って現在でも茅で作った大きな輪をくぐることで疫病の難を逃れ、この大祓式と一緒に行なうことで心身の罪穢れを祓うという神事になりました。
また、くぐるときには御神歌と呼ばれる「水無月の 夏越の祓ひ する人は 千歳の命延ぶというなり」を唱えながら歩くことで一層の御神威を高めて浄化が行われるようになっています。
そうして祓い清められた人形は海や川に流したりしますが、当神社では忌火の神聖な火によって焼納しております。
青森ねぶたでも紙で人形を作り最後には海上運行ということで海に流す風習は、この大祓式と同様に日本古来から伝わる祓えの様子を現わしているともいえます。
今年は皆様の参列が叶いませんでしたが、一刻も早い終息を願い、疫病退散の意味もしっかりと込めて厳守裡に斎行しました。
神事で祓い清めた御神札や茅の輪お守りは、この後、郵送でお届けします。
茅の輪は6日早朝まで設置していますので、ご自由に茅の輪をくぐられ、ぜひご参拝下さい。