ネブタ祀り祈祷祭を執り行いました。
2020.8.18 -[社務日誌]
令和2年8月2日にネブタ祀り祈祷祭を執り行いました。
今青森ねぶた祭が中止を受けて、今一度、祈りとしてのねぶたを見つめ直し、その元始を感じてみようという想いで企画され、当神社境内で様々開催してくださることになりました。
企画 主催された、E x t e n d e r / E x p r e s s i o nという芸術団体の代表である、田名邉元様は、絵馬掛けを製作してくださったり、おみくじ箱を奉納してくださったりと、日頃から当神社へ崇敬いただいている方というご縁がありました。
そのようなこともあり、想いを聞いてぜひ、金魚ねぶた献灯祭と併せてやろうということになりました。
今回はねぶたを祈りという観点から見つめ直すということで、本体であれば青森ねぶた祭の初日である8月2日に、新型コロナウィルス退散と、来年の無事開催を祈念して、関係者皆さん参列されてご祈祷をしました。
青森ねぶた祭りと同じ、8月2日から7日までに、【自由な灯籠つくり】、【ねぶたと未来に向けた御祈祷】、【ネブタの音とリズムと舞い】、【NANUKABI】といった、ねぶたの要素を含んだ様々な催しをしてくださいました。
【自由な灯籠つくり】では、ねぶたの山車の原型でもある灯籠を、好きな絵を描いて自由につくり、神池に浮かべていました。
【ねぶたと未来に向けた御祈祷】では、疫病退散に由来するねぶたの祈りを、しっかりと御神前にて手を合わせ、一日も早い終息と来年無事開催できる祈りを捧げました。
【ネブタの音とリズムと舞い】では、音を奏でる楽しさと乱舞する跳人の楽しさを味わってもらおうと、好きな楽器で自信が演奏出来るレベルで奏でてもらい、跳人も自分の好きなように楽しく跳ねてもらいました。
【NANUKABI】は、ねぶた祭りの最終日である7日(ナヌカ日)のことを指し、終わりを迎える日でもあるので、特別な囃子が奏でられます。
それを味わってもらおうと、ナヌカ日の囃子を奏でて祭りの最後を告げました。
いずれの祈りも毎日大盛況でした。
自由な灯籠つくりでは、連日たくさんの家族連れや夫婦、男女、友人等、さまざまな方が訪れ、各々の願いを込めながら楽しそうに作っていました。
真っ暗になる頃には明かりを灯して池に浮かべると、ゆらゆらと流れる姿がとても幻想的で、皆さん想いにふけっていました。
日毎に灯籠も多くなり、最終日のナヌカ日には池いっぱいに灯籠が浮かべられました。
黒い水ということもあり、鏡面のように明かりが反射して上下があべこべに見えるのも幻想的でした。
今年は龍神様へと続く神橋の手摺にもライトをつけたので遠くから見ると、まるで明かりの橋が神池にかかっているようでした。
また、囃子も元々団体に所属されていた、とても上手な笛吹きの方も毎日来てくださりました。
それにつられるように、ジャンベといった太鼓でねぶたの音頭を叩いたり、トロンボーンで囃子を奏でたりと、賑やかに、それぞれの楽しみ方で演奏していました。
日によってはバチを持つのがやっとのような小さい子が母親に手を持ってもらいながら叩いていたり、習っている最中なのか、小学生、中学生らしき子供達も楽しそうに叩いていました。
楽器は違えども、あのねぶた囃子のメロディーが流れてくると、青森市の人々はやはり「じゃわめぐ」ようで、近所の方々や通りかかった方も足を止めて聴き惚れていました。
例年であれば、何処からともなく聴こえてくるこのねぶた囃子が、今年は聞こえてこないため、夏の訪れを感じることが出来ないまま暑くなっていきました。
そのような焦燥感の中で、こうしてねぶた囃子が聴こえてくるというのは、例年以上に特別な感情が沸き上がってくるようで、訪れた方々がみんな喜んでいました。
自由な灯籠つくりでも、明かりを纏う紙へ好きなように書いて貰うのですが、小さい子から大人まで、今回の新型コロナ退散の祈りを書いている方が多くいたました。
今回の新型コロナウィルスによって、それぞれの生活に様々な変化が訪れ、心身共に疲れている思いがそのような願いに溢れていたようにも思います。
灯籠作る人、演奏する人、囃子を聴く人、写真を撮る人、色んな形のねぶたが現れていました。
子供達もこうした体験は貴重で、自分で神池へ灯籠を流すのはとても不思議なようで面白い風景でした。
少しずつ風によって流されていく灯籠が、まるで疫病をのせて禊祓いされていくようにも見えました。
最後のナヌカ日では、自粛自粛でなにも夏らしい思い出が作れかった子供たちに、ということで、手持ち花火も用意してくださり、好きな花火を持って楽しんでいました。
囃子を聴きながら、幻想的な灯りに包まれ行う花火は、何とも言えない夏の情緒に溢れていました。
広い敷地で花火をすることが難しくなっている中で、家族と一緒にとても嬉しそうに火を灯していました。
神社の境内だけは、夏らしさを感じながらも、暑さを感じない程、爽やかな雰囲気に包まれていました。
花火が出す煙に包まれながら、小さな明かりに映る跳人も異世界のような雰囲気に、ついつい周りにいて見ている方も体を揺らしていました。
最終日では、ナヌカ日の音がより一層、夏の終わりの寂しさを感じさせ、名残惜しそうに皆さんしていました。
新型コロナウィルスによって青森ねぶた祭りが中止となったことにより、ねぶたの存在の大きさをひしひしと感じると同時に、ねぶた祭りを改めて見直す良い機会となりました。
毎日、忙しい中、遅くまで、このネブタ祀りという祈りを開催してくださり、金魚ねぶた献灯祭もより重みのあるものとなりました。
皆さんの祈りも通じ、無事、怪我事故することなく、最後まで開催することが出来ました。
E x t e n d e r / E x p r e s s i o nの田名邉様、本当にありがとうございました。